ついに『糸撚り』班の冒険が佳境に。
板持ってサウナに行く冒険、見たかったなあ(笑)
長く、暑かった夏休みが終わり、
いつものチャイムと、いつもの友達と過ごす日々が戻ってきた。
夏休み明けの定期試験もなんとか乗り越えて、
ラボメンたちは、再びニュードの一員としての冒険へと戻っていた。
1ヶ月後まで迫った演奏会の実施に向けて、
いよいよ追い込みとなる糸撚りを進めながら、
綿の弓でこみてつさんに演奏してもらう曲の検討、
演奏会のプログラムの詳細の詰めや、
学校内に掲示する予告ポスターの制作など、
どれも重要な作業が並行して進められている。

そんな中で『糸撚り班』には、
まだ手をつけられていない、
そして避けて通ることのできない大きな課題があった。
それは、
撚った糸を、どうやって煮るかという問題だ。
綿を撚って作った糸は、
両端をしっかりつまんでいる間だけ、
かろうじて糸のかたちを保っている。
手を離した瞬間、しゅるっとほどけて、
ふわふわの綿に戻ってしまう。
これを離しても戻らないようにするのが“撚り止め”という加工で、
具体的には、熱湯で煮るか、蒸気で蒸すかのどちらかだというのだ。
撚り止めについては、昨年度のじぶんラボの冒険で学びました。
2. 着心地も変わる、撚りの方法【田中さんにうかがった染織のこと】
だけど糸は全部、1mの長さの木の板に貼り付けてある。
弓に張る際に糸を交差させないためなので、
これを外すわけにはいかない。

しかし板ごと煮ることができる大きな鍋はないし、
蒸すにしても、相当大掛かりな装置になってしまう。
「熱湯に一気にひたすのが難しくても、お湯の中をくぐらせるとか。」
「でも、煮るって結構長時間やらないとだめかな?」
「サウナに持って行って、みんなで我慢するとか」
みんなでサウナ!?
人も糸も整うならそれも面白いけど、
それくらいの蒸気で撚り止めができるかは怪しい。
みんなが黙ってしまったその時。
「スチームアイロンとかはどう!?」
まさに鶴の一声だった。
全員が顔を上げて声の方を見ると、
告知ポスターのデザインを仕上げていたラボメンが立ち上がって、
ひらめいた表情で手を挙げているのだった。


スチームアイロンかければいいんじゃないかなって!
「スチームアイロン!」
「それいいね!」
「それなら市民活動センターにも持っていけるね」
糸撚り班に積み残された最後の課題に、
現実的で、すぐに実行可能なひと筋の光が差し込んだ。
やるべきことは決まった。
あとは、やってみるだけだ。
【綿で紡ぐメロディ 冒険譚】
あわや、サウナ行き!? おわり